学習障害(LD)について
学習障害(LD)について
発達障害、特に、ADHDの捉え方を複雑にしているのが、
この学習障害(LD)です。
研究によって幅はありますが、
ADHDの方の20〜80%は、学習障害(LD)も併発していると言われます。
一応、のび太型の「不注意優勢型」のADHDの方に、この学習障害が多いと言われています。
ですが、ジャイアン型と呼ばれる「多動性・衝動性優勢型」のADHDの多動性、衝動性のために、
学習の能力が未熟なのか、判断がつきにくいという側面があり、
広い意味では、ADHDの方は、程度の差はあるが、学習障害(LD)を併発していると言えそうです。
星野仁彦さんの本をはじめとした、
発達障害の本を読んでいると、学習障害(LD)単独での発症は少ない、とされています。
なので、やはり、発達障害、特にADHDとLDはセットで考えておくことが望ましいと思います。
学習障害(LD)の特徴としては、
・計算はできるが、字が書けない
・文章を読むのが苦手で、計算は得意
・読むことはできても、字が書けない
・読むことも、書くことも苦手
といった具合に、症状の出方はそれぞれで、
これが出ていたら、学習障害(LD)であると判断しづらいのが特徴です。
なので、ADHDということがわかったなら、
学習の面で、苦手とするところがある可能性がある。
と認識しておいて、苦手な分野に関しては無理をさせない、といった対処が必要です。
また、苦手なことが自分にはある、と理解させておくのも大切なことです。
学習障害(LD)の原因
これも、育て方やしつけの問題ではなく、
認知や記憶に関する脳の働きの障害です。
視力、聴覚に問題がないのに、脳の中枢神経の働きになんらかの障害があるために、
目や耳から得た情報をうまく処理できないんです。
もしくは、処理にすごく力がいる。
だから、「わからない」といった口癖で、
すぐに友達やまわりの大人・教師に頼ろうとします。
でも、それは、「甘え」ではなく、上手く脳が働かないため、
本人もどうすればいいかわからないんです。
また、お父さん、お母さんも発達障害の可能性が高いため、
子どもの質問に上手く答えられず、親も子供もストレスをため込んでしまいます。
ちなみに、脳の中枢神経の働きとは、
見たこと、聞いたことを、【一時的に覚えておくこと】【好きな時に思い出せること】を指します。
塾講師の経験がある方なら、
扱いづらい、教えづらいというお子さんは、
- 急に九九がいえなくなる
- いつまでたっても、分数の足し算ができない
- 今、問題を解いたはずの文章のことをすっかり忘れている
- 文字を反転して覚えている
- 見たことのない漢字を書く
といった、若年性の認知症を疑うレベルのお子さんに出会ったかもしれません。
その原因としては、
生まれつき、この覚えておく、思い出せる、という脳の機能が弱いんです。
また、暗記だけではなく、概念の把握も苦手なために、
- 言葉でなら、計算できるのに、自分で書いた式の意味がわからない
- 文字の意味がわからない
- 知っている言葉でも漢字になったらわからない
- 逆に、漢字ならわかるけれど、言葉にされるとわからない
といった面が出てきます。
この学習障害(LD)は、欧米では10〜15%と、
かなりの割合で発症が認められていますが、日本では2〜3%と言われているそうです。
このデータは、
星野仁彦氏の『発達障害を見過ごされる子ども、認めない親』(幻冬舎 2011年3月30日)によります。
アルファベットと日本語の言語の違いによる、と説明されていますが、
私は、隠れ学習障害(LD)がかなりの数いると思うので、おそらく、欧米くらいの数はいると思います。
ADHDとは切り離せないものです。
ADHDの上、LDなんて、救いがないのでは?
と考える人もいますが、
トム・クルーズのように、親の療育によって、LDという障害を乗り越えた例もあります。
障害は違いますが、サッカー選手のメッシも身長が伸びない障害で、
ホルモンをうち続けて、あの身長に伸ばしたとか、
阪神タイガースの岩田投手のように、糖尿病でも、プロまで行く人はいます。
結局、障害があっても、治したり、改善したり、足りないことがあっても、長所を伸ばせばいいと考えられるか、
障害があるから・・・・と障害を言い訳にするか。
どう捉えるかは本人次第なのだと思います。
本人のやる気や意欲を責める前に、
この学習障害(LD)の知識をお父さん、お母さんには持ってもらいたいと思います。