アスペルガー症候群の方は、男女の空気も読みづらい。
アスペルガー症候群の方は、男女の空気も読みづらい。
アスペルガー症候群を理解する上で、
絶対に欠かせないのが、「空気の読めなさ」と「非言語コミュニケーション能力のなさ」です。
典型的なアスペルガー症候群のお子さんの場合、
例えば、塾での授業中にお茶を飲みたくなったとします。
普通のお子さんなら、授業時間が残り10分の場合、
授業が終わるまで我慢します。
でも、アスペルガー症候群のお子さんの場合、
それが授業の10分前だろうが、5分前だろうが、飲もうとします。
「なんで、飲むの?」
と聞くと、
「ちょっと、一服」
と答えます。
「あと、5分やのに?」
と返すと、
「え、だって・・・・」
と、後に続く言葉が言えません。
アスペルガー症候群の子は、思ったことをすぐに口に出します。
それは、行動も同じです。
こうしようと思ったら、自然に体が動きます。
理解していないと、ただの変な人に見えてしまいます。
わかっている人は、あえて、そのことを聞きます。
そして、普通の人は、残り10分、5分なら我慢する、我慢しないといけない場面がたくさん出てくる。
と指導します。
指導というよりもアドバイスですね。
もし、彼らが社会に出たときに、
こうなんだよって、こういうふうにまわりから思われるんだよ。
ということを伝えておきます。
このちょっと困った行動は、
男女の関係の時にも出てきます。
特に、アスペルガー症候群の男の子は、年下が好きです。
それは、性的に好きということではなくて、
同世代や上の世代から相手にされないので、
自分の「変なところ」に気がつかない年下の子が好きです。
同時に、アスペルガー症候群の女の子は、年上が好きです。
これも、性的な好みというよりも、
同世代の女の子が相手にしてくれないので、
優しくしてくれる年上、特に、男性が好きなんですね。
男性として好き、嫌いという感覚はあまりなく、
相手にしてくれるからなついている、という感じですね。
ただ、この特性のおかげで、
まわりが面倒に巻き込まれることがあります。
私の塾で実際にあった小学生の女の子と中学生の男の子の話です。
この中学生の男の子も、ADHDの症状が見られ、
普段から同年代よりも、年下の子と遊ぶことが多い子でした。
遊ぶ内容も中学校3年生ながら、
外で、ドッジボールや鬼ごっこをするといった、ちょっと子供っぽい遊びをずっとしていました。
遊ぶ相手は、小学6年生や中学1〜2年生が多く、
高校受験の時期になっても、公園など外で遊んでいました。
この男の子と私が雑談をしていると、
当然のように、アスペルガー症候群の小学校の女の子が話しかけてきました。
そして、一瞬で、この中学生の男の子と小学生の女の子は仲良くなってしまいました。
発達障害者同士は、
シンパシーのようなものがあるらしく、素早く仲良くなります。
特に、発達障害の傾向が強い女の子は、
同じ特性を持つ人を、本能的に見抜いているように見えます。
この女の子は、友達がいないわけではないけれど、
学校では友達が少ない、ということは親御さんから聞いていました。
1日でその中学生の男の子と仲良くなった女の子は、
何かあれば、中学生の男の子と話すようになりました。
でも、お互い恋愛感情ということではなく、
発達障害を持った者同士の、ある種の共鳴のようなものではないか、と私は見ていました。
ある意味で、同志という感じで、
中学生の男の子にひっつく感じで女の子が行動するようになりました。
中学生の男の子が塾から帰る時間を見計らって、
その女の子も一緒に帰る、というようなことがよく起こりました。
私自身は、塾の駐輪場まで一緒にいっているのだと思っていましたが、
後でわかったことですが、なんと一緒に女の子の家まで帰っていたのです。
もちろん、中学生の男の子は、
真っ暗の中、小学校の女の子を一人で帰すわけにはいかず、送っていたそうですが・・・・
小学校の女の子の親はそうは思わず、
中学生の男の子に「下心」があるのではないか、という疑いを持ったんです。
娘は誰にでもなつくから、それを勘違いしているのではないか、
と、塾に何度も連絡をくれるようになりました。
中学生の男の子と話もしましたが、
そんな感情は一切ない、ということでした。
そもそも、面白い子ではあるけれど、
女の子としての魅力はない、ということでした。
中学生の男の子、本人の言葉を借りれば、「顔はかわいくない」ということでした。
私も申し訳ないですが、
男性がすぐに好きになるようなビジュアルではないと思いました。
しかし、塾側としても、
「顔がかわいくないから、お父さん、お母さんが心配されるような下心を、
中学生の子は持たないですよ」なんて言うわけにもいかず・・・・
2人には一緒に帰らないように、という指示を出して、
なんとか、収めることができました。
女性のアスペルガー症候群などの本を読めば、
アスペルガー症候群の女の子が、異性関係のトラブルを起こしやすいことがわかります。
そして、実際にそういう事例に出会うと、
異性関係のトラブルに、まわりが巻き込まれる可能性があるということでもあると感じました。
アスペルガー症候群の女の子を持ったお父さん、お母さんが、
娘さんの人付き合いの仕方に注意するのはもちろんですが、
まわりにいる私たちも、アスペルガー症候群の人と関わることで、
勝手に、「好意がある」「下心がある」と見られて、トラブルに巻き込まれる可能性があるということを知っておかないといけません。
アスペルガー症候群の子の親も、発達障害を持っている可能性が高く、
理屈が通用しない可能性があります。
アスペルガー症候群の子と接する側の人間も、
きちんとした知識を身に着け、あえて、距離を取るという術も身につけなくてはいけない。
そう感じる出来事でした。
空気が読みづらい、
男女の関係のことを意識しない、
非言語的コミュニケーションが苦手
こういうアスペルガー症候群の子の特徴は、
本人が生きていく上で不利になるのは確かです。
けれど、この特徴によって、まわりも出会わなくていいトラブルに出会う、
ということを知っておいてください。
今回は、「疑い」程度で済みましたが、
下手をすると、警察沙汰になることもあります。
そうなっては、疑いを解くのは難しくなります。
事実、なんの気持ちがなくても、
疑われてしまうと、どうしようもないからです。
アスペルガー症候群の子の特徴を理解し、理解したうえで接していくというのは大事ですが、
必要があれば、あえて、アスペルガー症候群の子から距離を置く。
そういうことも必要です。
空気が読むのが苦手、この特徴は、
当事者もそのまわりにいる人も覚えておくべきことだと思いました。