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そして誰もいなくなった|ADHDの女の子の話

 

そして誰もいなくなった|ADHDの女の子の話

 

これも、私の知り合いの塾の話。

 

中学校1年生の田村真由美(仮名)さんの話です。

 

 

入塾の際、事前にADHDで、病院に通っているという話は聞いていたとのこです。

 

 

自分の衝動を抑えるのが難しく、
急に立ち上がって、勝手に休憩したり、
お腹がすいた、といきなり塾での授業中にご飯を食べようとしたり、
ADHDの症状の中でも、衝動がおさえられない女の子でした。

 

 

大学生のアルバイトの塾講師を雇っている塾にはよくあるんですが、
ビジュアルの差が、けっこう出てしまうんですね。

 

 

いわゆる「真面目」なルックスの大学生もいますし、
いわゆる「イケメン」って感じでさわやかな大学生もいます。

 

 

普通の生徒さんなら、
ビジュアルの良し悪しで思うことはあるでしょうが、
教え方が上手かったり、自分にあっていると感じれば、ビジュアル面は特に何も言いません。

 

 

同じ教室ですし、
授業は受け持ってもらえなくても、休憩時間などで、話せばいいわけです。

 

 

でも、田村さんは、そういうことがわかりません。

 

 

自分の担当の先生よりも、
他の生徒の担当の先生の方がかっこよく、「そっちがいい」と言い出したのです。

 

 

しかも、自分を担当してくれている大学生がいる前で。

 

 

その大学生は、ベテランのほうで、就職活動でバイトをやめたいといったそうですが、
塾側が、シフトを減らしてもいいから、残っておいてもらえないか?と頼み出た大学生でした。

 

 

職場の後輩の大学生の面倒見も良く、
人柄も申し分のない学生でした。

 

 

けれど、田村さんには、他の大学生の方がイケメンに見えたらしく、
「変えてほしい」としきりに言うようになりました。

 

 

「そんなこと許されるわけがない」

 

 

と、私の知り合いはそのことを思い出すと、怒った表情を見せます。

 

 

一貫して、講師のチェンジはないという姿勢を貫いていた私の知り合いですが、
ついに、授業中、その田村さんが泣き出すようになってしまいました。

 

担当講師がどれだけ優しく、わかりやすく授業していても、
話も聞かず、「わからない」「あの先生のほうがわかりやすそう」「〇〇先生来て」と勝手を言い出すようになりました。

 

 

ついに、私の知り合いも動きました。

 

 

田村さんがかわいそうだったからでは、もちろん、ありません。

 

担当の講師を守るためです。

 

 

そして、田村さんが気に入っている2人の講師に、
代わりに担当してもいいかを聞いてみました。

 

答えは、「NO」でした。

 

その子を担当するなら、この塾をやめる、と1人は言い出しました。

 

 

そして、私の知り合いは、覚悟を決めます。

 

 

田村さんに、塾をやめてもらったそうです。

 

 

本人は、「やめたくない」と死ぬほど泣いたそうです。
塾の教室全体に響くように。

 

 

けれど、どの大学生も、彼女に同情を寄せることもなく、
「やめて当然」と思ったそうです。

 

 

そうして、田村さんは、1つの塾を去りました。

 

 

 

 

最低限の我慢は、
親が教えておかないといけない。

 


 

発達障害の子がぐーんと伸びる心と体の育て方』では、

 

できなくてもいい、「やり抜く力」を身に着ける

 

とあります。

 

私も、そう思います。

 

 

ADHDやアスペルガー症候群の特性を、まわりはある程度理解してあげる必要はありますが、
発達障害を持つ人の「わがまま」を受け入れる必要はありません。

 

子どもの「やり抜く力」を身につけさせるのは、親の仕事です。

 

結局、田村さんの親は、田村さんが発達障害だから、「できない」と思い込んでしまっているのではないか?
と思っています。

 

 

それを、塾に入れるという行為で、
ごまかしているのではないか?

 

 

と思っています。

 

 

発達障害だから、まわりから人がいなくなるのではありません。

 

 

人として、一般的に大事なことを、親が教えていないから、人がいなくなるんです。

 

 

ADHDだから、アスペルガー症候群だから、で、自分が教えていないこと、子育てに対して努力していないことを、正当化していませんか?

 

 

多くの塾の現場では、発達障害の研修をしていますし、
ある程度の理解はできています。

 

けれど、支援してあげられない限界点はあります。
家族よりもその限界点は当たり前ですが低いです。

 

 

そのことを、忘れないでください。

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