岡田尊司さんの『アスペルガー症候群』のレビュー&感想
岡田尊司さんの『アスペルガー症候群』のレビューと感想になります。
タイトル『アスペルガー症候群』
著者 岡田尊司
出版社 幻冬舎
発行年 2009年9月30日
アスペルガー症候群に真摯に向き合った、新書を超えている本です。
アマゾンのレビューを見ると、
賛否がある本で、そんなに偏った内容になっているのかと思って読みましたが、全くそんなことはありません。
ただ、岡田氏の中で、
アスペルガー症候群の短所を書いた後、
バランスを取るために、少し過剰にヨイショしているところはあると思います。
でも、それは読み手が、その部分は理解したうえで読めばいいわけです。
もう、7〜8年前の書籍ですが、
今読んでも、まだまだ理解されていない発達障害のことが、
これでもかと書かれています。
杉山登志郎先生の本とともに、
自閉症、アスペルガー症候群、自閉症スペクトラム障害の理解のためには、読んでおきたい本です。
では、この本の特徴を3つにまとめます。
発達障害の原因の中で、
避けられているものがあります。
それが、親の責任、です。
発達障害の原因は、脳機能の障害であり、
その脳機能の障害が起こる直接の原因は、
親のしつけ、お母さんのしつけ、が原因ではありません。
ただし、発達障害が悪化する原因に、
親、家族がある、というのも、本当なのです。
この部分は、デリケートな部分でぼかした表現の本も多いのですが、岡田尊司さんのこの本では、この部分にも言及しています。
アスペルガー症候群だけではなく、ADHDといった発達障害全般の有病率がここ10年ほどで、一気に伸びています。
これは、遺伝だけが原因ではなく、
汚染された空気、食糧事情、
そして、家族、の問題なんです。
ここまで踏み込んでいるからこそ、
この書籍を読む価値があるんです。
アスペルガー症候群を見出した、
ハンス・アスペルガーを紹介しながら、
アスペルガー症候群のプラスの面をできるだけ紹介してくれています。
持ちあげすぎだと不快に思う人もいるようですが、
岡田尊司さんの優しさだと私は解釈しています。
それに、「できない」ことがあるということは、
「できる」ことが普通の人以上に「できる」可能性があるということです。
それをどう支援していくかは、
本人とまわりの問題です。
そして、本の役割はそれに気づかせてくれることだと私は思っています。
その意味で、この本には、希望がたくさん詰まっています。
この本を読み、私の常識は、いい意味で破られました。
発達障害は脳機能の障害であり、
脳に異常があるもの、と私は思い込んでいました。
しかし、この本を読み、
アスペルガー症候群と診断された子たちの脳が、
一般の人よりも大きく、その大きさが、脳の機能(神経伝達)を妨げることがあるという部分を読んだとき、いろんなことが一本の線でつながりました。
そう、
「発達障害は治る」んです。
【発達障害は治らない】というのが事実で、
【発達障害は治る】なんて、都市伝説のような話。
そう私自身、心のどこかでは思っていたんですが、
この研究を紹介する部分を読み、「治る」とわかりました。
脳が歪んでいるだけで、
欠損ではないんです。
だったら、食事、運動、脳への刺激の調整、これを気を付ければ、脳のゆがみを正し、普通と呼ばれる機能へ調整してあげることが可能ということです。
これを、知れただけでも、
心から納得できただけでも、900円の価値はあります。
以上が、私が感じたこの本の特徴です。
デメリットは??
出版年が2009年と少し古いことくらいでしょうか?
発達障害についての知識や認識も、
10年経てば、変わっていきます。
ある程度、知識を持って読むと、
古く感じられるところはあるかと思います。
岡田尊司さんの『アスペルガー症候群』は買って良かった??
私も、たくさんの本を読み、
いくつかの書籍、イーブックで、発達障害が治るということがわかりました。
でも、どこかで、治ると言っても、ちょっとよくなる程度なんじゃないか。
もともと、発達障害がひどくなくて、
たまたま、治ったように見えただけではないか。
と心のどこかで思っていました。
でも、この本を読んで、
アスペルガー症候群のこと、
発達障害のことを、
より深く理解できた時、「あ、治る」とわかったんです。
脳の話もそうですし、
薬の話、それから、アスペルガー症候群でも、
社会で活躍で来ている人の話。
発達障害に治すために必要なことは、
正しい知識を得ること。
ほんとこれだけなんです。
そんな当たり前の気づきを私にくれた素晴らしい本です。
ぜひ、まだ、読んでいないなら、
新書で手に取りやすいのでぜひ、手に入れてみてください。
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