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『その「もの忘れ」はスマホ認知症だった』のレビュー|発達障害を作らないために

 

『その「もの忘れ」はスマホ認知症だった』のレビュー

 

誰しもが、スマホを持つ時代です。

 

スマートフォンが人間の脳にどのような影響を与えるのか?
知っておくのは、人間の、親としての義務ではないでしょうか?

 

タイトル:その「もの忘れ」はスマホ認知症だった
著者:奥村歩
発行社:青春出版社
発行年:2017年7月15日

 

正式タイトルは、
「10万人の脳を診断した脳神経外科医が教えるその『もの忘れ』はスマホ認知症だった」になります。

 

発達障害のサイトで、
どうしてこのような本を取り上げるか、というと、
私は常々、発達障害にならなくていい子が、発達障害になっているケースが圧倒的に多いと思っているからです。

 

 

発達障害に関する著書で有名な、
星野仁彦先生も、
岡田尊司先生も、
その本で、発達障害と診断される人がすごい勢いで増えていると指摘しています。

 

その背景には、発達障害の理解が進み、
きちんと診断を受けたり、まわりに発見されるようになった人がいることはわかります。

 

それでも、増えすぎ、というのが、
発達障害に関わる専門家の方の意見です。

 

 

そして、実際に、塾で子どもたちと接する私から言うと、
普段の生活のせいで、発達障害になっているお子さんがいる、そんな風に思うようになりました。

 

 

この本の表紙を見た時、スマートフォンの使い方によって、
おそらく、何らかの負の影響を受けている子どもがいるのではないか、そう思い読み進めていくと、
子どもたちの発達障害に共通する指摘がいくつも出てきました。

 

 

例えば、この本のP32から説明されるスマートフォンの光の影響について。
ここでは、いかに、スマートフォンが睡眠への影響が強く、子どもたちの脳に悪いかが書かれています。

 

まず、眠る前にスマートフォンの光を浴びてしまうと、
睡眠を促すホルモン・メラトニンが出にくくなってしまうそうです。

 

実際に、私自身も経験しています。

 

私は、スマートフォンの光くらいでは、
あんまり関係なく、すぐに寝られるのですが、PS4のゲームを寝る前にしてしまうと、
流石の私も寝られませんでした。

 

スマートフォンや、プレイステーションVITAくらいの光なら寝られますし、
テレビでユーチューブを見るくらいでも寝られます。

 

でも、PS4ではだめでした。

 

ゲームのクオリティが上がり、発する光の情報量が増えるために、
メラトニンが出なくなってしまったのかと思います。

 

あの寝られない不快感は、思い出すだけで嫌になります。

 

さらに、P35ページにこんな記述が続きます。

 

 

もちろん、記憶力も低下します。ちゃんと睡眠がとれていないと、ものを覚える働きも記憶を引き出す働きも両方とも落ちて、「聞いてもよく理解できない」「何度説明されても手順をのみ込めない」「よく知っているはずの固有名詞が口から出なくなる」といったことが起こりがちです。もちろん、「スマホ認知症」によって表れる記憶力の低下症状にも、日々の睡眠不足から来る脳のコンディション不調がかなり色濃く影を落としていると言っていいでしょう。
タイトル:その「もの忘れ」はスマホ認知症だった著者:奥村歩発行社:青春出版社発行年:2017年7月15日

 

 

とあります。

 

なぜ、こうなるかというと、

 

 

脳は睡眠がなくては働くことができません。睡眠中、脳内ではたまった疲労物質を代謝したり傷ついた細胞を修復したりといったさまざまな回復作業やメンテナンス作業が行われています。睡眠をろくにとらずに活動するのは、こうした整備作業が整わないまま見切り発車をしているようなもの。毎日のように寝不足が続けば、疲労が累積して脳はどんどん力を出せなくなってしまうでしょう。

 

 

塾で働いた経験がある人なら、
中学生、高校生のひとりひとりの個性という言葉だけでは片づけられない、
個人の能力差に驚いたことがあると思います。

 

大げさな話をしているように見えるかもしれませんが、
私は分数の足し算ができなくなった高校3年生を知っています。

 

その子は決して、頭が悪いとか、そういうことではないんです。

 

でも、時々、おじいちゃんと話しているかのように会話ができなかったり、感情のコントロールができなかったり、
分数の足し算ができなくなったり、こちらが驚いてしまう反応がいくつか出てきます。

 

 

  • 聞いてもよく理解ができない
  • 何度説明されても手順をのみ込めない
  • 知っているはずの固有名詞が出てこない

 

 

これらは、発達障害のお子さんによくみられる現象です。

 

 

何度説明しても、
普通の中学生、高校生ができるレベルのことができない。
何度説明しても、説明の通りできない。

 

そして、知っているはずの名前や分数の足し算や九九など昔習ったはずのことが出てこない。

 

 

これらは、発達障害のせいというよりも、
不用意にスマートフォンを与えたばかりになってしまう症状なのではないか?
この本を読み、改めて今の子どもたちの様子を振り返えってみると、そう思えてならないんです。

 

子どもたちは、
私達大人が子どもだった時に持っていなかったものを持つようになります。

 

買い与えるだけではなく、私達、大人がその機器の持つ良い面と悪い面を知っておく必要があるのではないでしょうか?

 

では、この本の特徴を3つにまとめます。

 

 

1、脳神経外科医の本

 

科学的な根拠がある話ばかりではなく、
実際にこういうった例がある、こういったことがつながっているのではないか?

 

実際に現場で感じたこと、証明されていないけれど、
本当に近いだろうということを書いています。

 

実際に、この手の部分のところは、
「わからないこと」「わかっていないこと」が多く、
現場の治療で、最前線にいる方の「考え」「仮定」というのがとても参考になります。

 

 

奥村先生が見てこられて感じてこられたことが書いてあるので、
自分たちに置き換えながら、読むとさらに深く読めます。

 

2、スマホ認知症の改善

 

スマホ認知症の改善策、予防策が具体的で、
実践しやすいというのも、うれしいところです。

 

簡単なことばかりですので、
実践する読者のことを考えてくれていると思います。

 

この、

 

すぐにできる
誰にでもできる
理解してできる

 

というすぐに実践できる改善方法を提示できるのは、
奥村先生がそれまで多くの患者さんを診てこられた経験がたくさんあるからでしょう。

 

この実践しやすい改善方法は参考になります。

 

3、いつまでも進化する脳へ

 

スマホ認知症の改善だけではなく、
脳そのものがいつまでも若々しく、サビない状態でいるための方法も書かれています。

 

日頃のパフォーマンスの低下の原因、
スマホ認知症ではないかという問題の提示

そこからの、
スマホ脳の改善方法

そして、いつまでも若々しい脳でいられる方法

 

 

出し惜しみなく、
奥村先生のノウハウが詰め込まれた1冊。

 

スマホ脳を改善・予防するだけではなく、
自分たちの脳をどれだけ生かしていくか、そういうことにも力を発揮する1冊です。

 

 

 

デメリットは?

 

科学的実証や引用が少しすくないため、
気になる方は、「〜でしょう」「〜とされています」「〜と言っていいでしょう」
という言い方がひっかかるかもしれません。

 

しかし、科学的根拠も、実は新薬の有用性のためにねつ造されることもあり、
科学的根拠やなにか凄そうな論文の引用があるから、すべて正しいわけではない、ということは知っておくべきです。

 

 

買ってよかった?

 

私がこの本を読んで驚いたことは、
ホリエモンで有名な堀江貴文さんのビジネス書と中身がたくさん重なっていることです。

 

脳をいつまでも若くしておく方法として紹介されていること、

 

考えること、
体験すること、
アウトプット=行動すること、

 

これらが、トップビジネスマンの方の行動基準・行動スタイルと、
ピタッと一致するのです。

 

堀江さんだけではなく、
多くのビジネスマンの方は若々しく、
聡明で、行動力に富んだ方が多いです。

 

その理由が分かった気がするんです。

 

 

私達は知らず知らずにせっかくの脳を粗末にする生き方をしているんです。

 

でも、意識しているのか、無意識なのかはわかりませんが、
ビジネスやスポーツの中ですごい人たちは、脳にいいことをしています。

 

 

自分で考え、
いろんな体験を受け入れ、
アウトプットとして、自らいろんな行動に出る。

 

 

私はこれを見ていて、凄い人がどんどん凄くなる理由がわかりました。

 

彼らは自分の脳の能力を最大限引き出すような、
そんな生き方を自然としているんです。

 

 

凄い人がどんどん凄くなり、
そうじゃない人との差をどんどん広げていく。

 

 

その裏には、こういった脳の使い方を、上手くして言っている人と、
そうじゃない人の差が出ているのだと思います。

 

 

ビジネス書を読むのが苦手な方でも、
脳にいい過ごし方がわかりますので、その意味でも手に入れておいてほしい本です。

 

 

10万人の脳を診断した脳神経外科医が教える その「もの忘れ」はスマホ認知症だった (青春新書インテリジェンス) [ 奥村 歩 ]

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