『大人のAD/HD【注意欠如・多動(性)障害】』のレビューと感想
『大人のAD/HD【注意欠如・多動(性)障害】』のレビュー・感想になります。
タイトル『大人のAD/HD【注意欠如・多動(性)障害】
監修 田中康雄
出版社 講談社
発行年 2009年5月25日
考えられ得る大人のADHDの症状をまとめた本。
ADHDの自分を理解するためにも、まわりにいるADHDを理解するためにも読みたい1冊。
どうしてあの人はあんなにも空気が読めないんだろう。
どうしてあの人はあんなにも幼稚なんだろう。
どうしてあの人は少し考えればできることができないんだろう。
そんな人たちを理解するために、絶対に必要な本です。
もちろん、理解したからといって、すぐにあなたが、ADHDの人を心から理解してあげることはできないと思います。
私はそんな時、この歌を思い出します。
その時が来たら、
あなたが大切にしたいとか、仲良くしてあげたいとか、助けてあげたいとか、
そう思える人がいて、その人がADHDだった時に、理解してあげられたら、それが一番だと思います。
周りの人の気持ち、
ADHDの人の気持ち、
それがシーンごとにわかりやすくなっている発達障害を理解したい人のための、必読の書です。
この本の特徴を3つにまとめてみます。
この本の最初に、田中先生の想いがあります。
ADHDの方は、確かにまわりをいらいらさせるかもしれませんが、
彼ら自体も悩んでいると。
そして、ちょっとした理解で、
改善できることを教えてくれます。
ADHDを理解するのは難しいと思われているかもしれませんが、
ちょっとした簡単なことなので、まずは、この本で知ることからはじめてください。
ADHDの人は、こんなことに困ってるんですよ。
だから、助けてあげましょう。
という、発達障害の人を、「定型」と呼ばれる普通の人が、
すべて理解してあげてください。
という本ではありませんん。
図解入りのイラストで、
発達障害の人はこう思っていて、
周りの人はこういう反応を示すということが書かれています。
発達障害の人を理解するのも大切ですが、
発達障害の人がまわりにどう思われているかを理解するための1冊でもあります。
まわりから疎外される発達障害の人の特徴は決まっています。
「自分の想いしか言わない、気づけない人です」
これがわかるだけでも、まわりとの関係はスムーズになります。
田中先生が、本編のあいだに挟む、
コラム的なQ&Aが秀逸です。
そうそう、これって気になるよね、という1つ1つに、
田中先生が明快な答えをくれます。
例えば、
近くの診療所か、遠くの評判の診療所、どちらに行くべきか?
答えは、近くで、小さなことでも、さっと聞けて答えてもらえる環境が大事、ということでした。
こういうかゆいところに手が届く配慮も、
素晴らしい1冊でした。
デメリットはある??
解決法が少し弱いということでしょうか?
まずは、発達障害、特に、ADHDの方とのお互いの理解が、主題になっているので、
そこは少し弱いと思います。
ただ、この本を読む方も、まずは「理解」のための本とわかっていると思うので、
そこは理解した上で手に入れてください。
それに、発達障害の改善に関しては、
改善マニュアルをうたっている本を手に入れればいいだけですから。
買って良かったことは??
お互いの気持ちがわかりやすくなっているという本というところです。
私も塾の教室を運営していて、
アスペルガー症候群だろうが、ADHDだろうが、
他人から理解してもらえない発達障害の方は、相手の気持ちがあることを知ろうともしない方です。
自分にも気持ちがあるけれど、
相手にも気持ちがある。
そんな当たり前のことを、改めて知ることができる1冊。
もちろん、ADHDの症状、
大人になってどんな困難があり、どんなことで悩み、最悪、うつ病などになってしまうのか。
これもわかりやすいんですが、
最もためになったことは、お互いの理解が大切だという、人間社会の当たり前に気が付けたことです。
自分が発達障害で悩んでいる方、
相手がまわりが発達障害で悩んでいる方は、ぜひ、手に入れてください。
【詳しくはこちら】
大人のAD/HD〈注意欠如・多動(性)障害〉 [ 田中康雄(精神科医) ]